2015年4月2日

新年度の始まりに寄せて

自らを越えた資源

楽伝、2015年度始動
旧きと新しきをつなぐ一心寺、山門に仁王を仰いで
4月。新しい仲間、新しい職場、新しい学校等々「新しい」環境に身を置かれる方も多い
ことでしょう。

意気揚々と思い描いていたようなスタートを
迎える方も、一方で、こんなはずじゃなかったという苦い思いを噛みしめつつ歩みを進めようとされている方もおられると思います。

実は私、いろいろなプロジェクトを同時に手がけるは常態ながら、最近よく感じます。
かつて「これはもう無理だと思ってやめてしまったもの」を掘り返してやっていることが多くなったな、と。

それは“そう意識しているから”そうなっています。どういうわけなのか、ご説明しましょう。
 
あるプロジェクトをやめてしまった時点では、やりたくて始めたのに「やりきれなかった」という結果に対する悔しさと自分の能力に対する情けなさ等々、嫌な気分でいっぱいになります。そうした「やりきれなかった」モノゴトたちは、私の記憶の中にネガティブな気分と共にしっかりと刻印付けされていきます。この「やりきれなかったリスト」が、新しいことを手がけるときに非常に役立っています。

「やりきれなかったリスト」を新しい取り組みに役立てるための単純で効果的な方法は、
2つの問いへの回答を考えてみること、それだけです。
 
 Q1 その新しいことは「やりきれなかったリスト」にあることと、どこか似ていないか?

 Q2 似ているとすれば、前回バリアになっていた要因が、今回もバリアになりそうか?
 
人間、事由もなくある日突然、大きく変わるものではありません。とすると、新しい取り組みだと
自分が思って始めることのほとんどは「やりきれなかったリスト」にあるものと同一、ではなくとも類似点が多くなります。したがって、Q1への回答は「YES」です。
 
前回バリアになっていた要因は、あきらめた当時にはなかった「人とのつながり」や「テクノロジーの進歩」「身についたスキル」などによって“今の自分”なら解決できる部分が多くなっています。つまり、Q2に対して「NO」と答えやすくなっています。
 
面白いことに、そうした人とのつながりやテクノロジー、スキルは、必ずしも自分が望んで得られたものでなく、「たまたま」ご縁があったり、そのようなトレンドがやってきたり、知らず知らずのうちに得たものがほとんどであることに気づかされます。自分の意志とは関わりなく“自ら”を越えて
蓄えることのできた資源が役に立ってくれるわけです。

もちろん、前回バリアになっていたことがまだバリアになることもありますが、それはそれでいいですよね。何がバリアかがわかっているので、それを回避するなり解消する方略を模索することに、
すぐさまエネルギーを『転換』できます。

この4月、思い通りのスタートができた方は存分に取り組んでください。そして、悔しくも意志に
沿わないスタートとなった方は、こう考えてはいかがでしょう。
今の意志とは無関係に“自らを越えた資源”を蓄えるチャンスが到来した、と。
そしてこのチャンスに対し、貪欲に取り組んでも決して損はありません。蓄えられた資源はいつか、あなたの意志を具現化するときにきっと力になってくれるのですから。

桜だよりとともに

理事長 西道 広美 拝
    

 

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