2017年1月26日

なぜインプロ?

即興力が激動の時代になせること

「二階のこどもたち、楽しそう!」
楽伝が居をかまえる黄色い家は、なにぶん昭和感あふれた木造でして、下の階にいても、二階の様子が手に取るように伝わってきます。

前号で初日の模様をご紹介した第2回《らくでん式・英語インプロワークショップ》の日は、理事長・西道が一階におりました。

ふだんは静かな二階ですが、この日は“インプロぢから(即興力)” を鍛錬しているこどもたちの波動が下まで降ってきたようで。
別の仕事にかかっていたはずの西道が、突如つらつらと書き始めました(笑)

題して「即興力について」。

由来をたどれば即興演劇(インプロビゼーション)での発揮に象徴される『即興力』。
 
― 即興力はコミュニケーションの新陳代謝を実現する力であり瞬時の構成力である
として変化の時代を楽しくしたたかに生き抜いていく上での『即興力』の意味をひもといております。楽伝が小学生・中学生のこどもたちを対象とする《らくでん式・英語インプロ》を始めた想いもここにあります。

なぜ、インプロ? どうぞコチラよりお楽しみください。
 
次回は《らくでん式こどもいんぷろ英語ワークショップ》のいよいよ【後編】第二日目の様子をお届けします。

>>【前編】第一日目の模様はコチラ

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2017年1月19日

まちがったら、おもしろくなる!

【前編】第2回らくでん式・英語インプロワークショップをご報告します

初日でみんな、この笑顔!
2016年もまもなく終わろうかという週末。
楽伝の<黄色い家>二階に集合したのは8人のコドモたち。正確には小学4年男子ひとり、6年男子ふたり、中学1年女子ひとり、大学女子ひとり、さらには「ココロは10代♪」の3人のオトナたち。

この日は、即興演劇(インプロビゼーション)にヒントを得て、英語コミュニケーションでの発信力を養う《らくでん式・英語インプロワークショップ》。 春に続き、2回目の開催です。
  
今回は午後3時間x2日間のプログラム。英語落語の先生をお招きした新しい趣向で、両日とも
【らくでん式・英語インプロ】と【英語でインプロ落語】の2部構成です。さてどんなことになりましたやら。これから≪前編≫≪後編≫に分けてご報告していきます。
本号は≪前編=第1日目(1226日)≫の模様です。

◆第1部 らくでん式・英語インプロ
まぁ、オトナもそうなんですが。。。初参加・初対面のこどもたちがぶつかる最初の難所はなんといっても「はずかしい」「どうするのが正解かな?」といった気まずさや探りあい。そこは私ども楽伝=「楽しく伝える」を助けるが生業でして、打破するはトクイなのです。

しかし、春の第1回ワークショップを振り返って「まだまだもったいないなぁ。みんな、始まってすぐ、もっとはやいこと脱皮せえへんかな。」と現状に飽き足りない辻野(楽伝 社会教育部)。今回は、オープニングにありがちなあの『もごもごタイム』を、さらにちゃっちゃと卒業できるよう、冒頭から前半いっぱいかけて、いくつものインプロゲームを用意していました。

インプロゲームといえば、某有名TV番組で知られた「あいうえお(あいうえお作文の要領でストーリー創作する)」ほか、いろいろありますが、今回の辻野、厳選ポイントは、口だけでなく「カラダを動かす」ゲーム。変化は「動く!」で起きますから。

その中のひとつが I am a tree.

参加者をチーム分けし、その場の一角を選び、舞台とします。今回は二階の和室の一角を「舞台」にすることに。これで準備完了、早速スタートです。

辻野がまぁ適当に(ウソ、真剣に考えてます!)チームごとにお題を出します。あるチームに最初に出されたのは「アメリカ」。

するとメンバーはひとりずつ「アメリカ」の「何か」になりきって、その舞台へと入っていきます。I am a ...」と自己紹介しながら舞台へ入り、ポーズをとって静止!
ひとりめ「自由の女神!」、ふたりめ=「ホワイトハウス」・・・メンバー全員が舞台に揃ったところで、はい、記念撮影しま~す。

これをできるだけ、こどもたちが知っている英語で行いました。正解はありません。そのチームの「アメリカ」ができたらよいのです。

お題を変え、各チームが何度かやっていきました。おとなしい子も、ハキハキした子も、だれがどんなものになっても受け入れる。そうこうくりかえすうちに、意外な発想があることに気づいたり、感心したり。初めは人前で話さなかったメンバーが、回を重ねるうちにアイデアをいちばん出す側になっていることもありました。

正解がないのでしぜんに失敗を恐れなくなる?
むしろ「まちがうと、かえっておもしろい!」を経験してどんどん楽しくなってきた、といった感じでしょうか。その結果が、冒頭の写真です。初日のアタマからみんな、この笑顔ですよ(笑)
このワークショップの大きな目的は「発信力向上」。そのための最初の耕しがたしかにできました。

◆第2部 英語でインプロ落語
落語は、座ったままでいながら、言葉だけでなくありとあらゆるものを使って表現し、実にいろいろな感情を人に伝えてくれます。声のトーンや大きさはもちろん、顔のたくさんのパーツを動員しての表情、指先から手首、腕までを使ったしぐさ、座ってはいますが足さばきだって!本日の師匠、笑人(Showto)先生の豊かな表情・しぐさ・声色の高座を前に、一同釣り込まれるように笑ってしまい、楽しんだのでした。
まずのフィードバック

思わず笑人(Showto)先生ってどんなキャリアを歩いてこられたのだろうとワクワクしちゃいます。おききすれば、公立の小学校教師として13年、中学校にて英語科教師として6年勤務ののち、再び小学校に戻り、英語活動の研究開発校で英語の指導にあたられたそうです。そうした過程で、落語の手法が「英語のわからない人に英語の内容を伝える」に奏功することに着目!現在は英語落語道場にぎわい堂を主宰し、落語英語を指導・普及されています。
 
笑い弾けて、へぇ~っと思っているうちに、おーっと!今度は自分が高座に上がる番です。

まずは師匠にフレーズを教わります。たとえば・・・
 
I love ice cream.  Ice cream loves me!

あとは「全身全霊で表現することに注力する」をめざし、先生の指導を受けながらくりかえす!ちょーっとずつ気恥ずかしさを脱いでいきます。
 
失敗したぁ、と一瞬は落ち込んでも、その場でただちに再チャレンジできて復活!
「なんだ、だいじょうぶなんだ、失敗でもなかった」。

くりかえすうち
のってきましたよ~
初めは「口パクか?!」と思うほど動かぬ顔だったのが、照れに崩れた顔になり、続いて手が前に出て、上半身も少しずつ前のめりに、果てには愛する相手=ice cream を宙にみつめ、抱き寄せる。
いやはや、変わるじゃございませんか!
 
ちなみに英語落語といいながら、ほかの国の言葉にもチャレンジ!イタリア語や韓国語もとびだす場で、みんなが感じたのは「言葉はわからなくても、相手に伝える方法っていくつもある。」

蚊の鳴くような声だったメンバーがだんだん進んで高座にのぼり、小噺にチャレンジするようになったり。母いわく「人前で話すなんて~と言うタイプですが・・・」なメンバーも、気づけばどんどん高座に座る。これには、辻野も期待超えでびっくりです。

春の第1回にも参加した経験をもつメンバーは、発信するときの気おくれや照れ、恥ずかしさとの付き合い方がさらにうまくなり、表現の工夫も進むなど、成長を感じさせてくれました。
 
そんな彼らも前回は「こうかなぁって思うけど自分、間違っているかも」と発話できなかったり、「やったことないし失敗するかも」と思うとカラダが動かなかったり、だったわけですから≪やってみる➡経験を重ねる≫が可能にすることの大きいこと!

そう、はずかしくない。
まちがったら、おもしろくなる!

さてさて、初日にしてすでに弾けきった感ありますが(笑)、この続き=後編(第2日目)は次の機会にご報告しましょう。どうぞお楽しみに! 

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2017年1月6日

年始のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。
タブノキの冬芽

楽伝の本拠地、黄色い家界隈は暖かいお正月にて、日中は13度にも達したでしょうか。ぽかぽかとした日差しの中、初「春」を満喫させていただきました。

昨年、楽伝は地域振興部とは別に社会教育部を発足させ、未来を担うこどもたち向けの発信力育成プログラムとして、英語インプロビゼーション(即興演劇)を開始しました。
"ブッカ・ワールドで楽しく生き残るには?"という壮大な課題意識のもと、年末開催のらくでん式こどもいんぷろ英語ワークショップの2日間は、明るい笑い声で黄色い家が満たされ、楽しい年の瀬となりました。

明けて2017年、昨年末に本ブログでもご案内した株式会社伝耕のブログシリーズ『キャリアデザイン再考』に際し、NHKの「ブラタモリ新春アンコールSP」を横目に、西道はのんびりと最終回を執筆しておりました。

するとテレビから流れてきたのは2013年に行われた伊勢神宮の式年遷宮は、20年に一度の大行事だが、それは1300年もの間、繰り返されてきたという気の遠くなるような話。

それにしても なぜ、20年に一度、すっかり新しくして、ご神体を遷すのか?

  理由のその1:20年に一度神殿を新しくすることでお参りの機運を高めていたという説。
                ➡ マーケティングで言うところのリニューアルキャンペーン
 
  理由のその2:伊勢神宮の建築は、神明造りと言われ、屋根は茅葺で、下部の構造体は木を
                コーティングして長持ちさせる漆などが使われておらず、長期間の耐久性がない。
          ➡ 建て替えを前提とした存続モデル

  理由のその3:構造としては正殿に使われている骨組みと同じ御稲御倉(みしみねのくら)を
                観察対象とする。この倉は米の倉庫であるが、屋根を支えるのは、柱でなく「壁」
                そのものであり、柱と屋根の間には見てわかるほどの隙間が空いている。こうして
                屋根の重みが直接壁にかかることにより、壁の板の継ぎ目が圧縮され、湿気や害虫
                を寄せ付けない。ところが、その壁も長きに亘り圧縮され続けると、屋根と柱との
                隙間が埋まり、やがて「柱」が直接屋根を支えるようになる。そうなると、壁は
                屋根の重みを受けず圧縮されなくなるから、隙間ができ、湿気や害虫が入ってしま
                う。屋根が壁でなく「柱」に支えられるような状態になるのに約20年かかり、それ
                が建て替え時である。
          20年で設定された品質制御期間

つまり、マーケティングと存続モデルと品質制御が三位一体となり、20年に一度とされてきたのではないかというお話でした。

人生を100年スパンで考えるという話題の書「100年時代の人生戦略」を紐解きつつキャリアデザイン再考』の最終回を執筆していた私ですが、正直、なんか100年って長いなあ、と。この本の著者によると、長寿社会では、キャリアデザインのパタンも変わる。人生が70年程度で終わるならば、教育→仕事→引退の3ステップ。人生100年になると、合間に移行・探索期間をはさんで5ステップ程度。ざっくり言って20年一度、キャリアを一新する」というわけで、その視点に、なるほどと新鮮味を感じておりました。


そこに飛び込んできた式年遷宮の話。これも、20年に一度の一新ながら、伊勢神宮は1300年も前から続けています。そのたび、社殿も橋も装束・調度品等まですべて新しく作りかえられてきました。技術継承が可能な20年の範囲で、すべてそっくり一新されるからこそ、古きものが新しいものにつながる「常若(とこわか)」の思想につながります。となれば、上述の書「100年時代の人生戦略」で説かれたステップは殊更に新しいことでもないといえましょう。
 - 長すぎず、短すぎない20年。なるほど。

社殿などの建築物を作るのに必要な檜の丸太はなんと約1万本。宮大工さんたちがこれらの丸太で約万個のパーツを準備されるらしいです。リニューアルが終わったと思ったらすぐに次のリニューアルへと、次の式年遷宮の用意はすでに粛々と行われているわけですね。
 
これって、キャリアデザインに一生取り組む、に同じ。
 
「新しくすることによって継続する。継続することによって新しくする。」この繰り返しで成り立つ「常若」の思想。20年ワンクールにて1300年続いてきたのですから、人の100年ぐらいなんとかなりそうですね。

年始から力をいただきました。

今年の干支は「酉」。この字は酒樽をかたどったものにして、「酒」の元の字。収穫した作物から酒を抽出することができる成熟した状態を示すそうです。
 
成熟にはまだほど遠いですが、人生100年を考えて、ゆっくり、焦らず「常若」で参りましょう。
 
理事長 西道広美 拝

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